1Q84 を読んで

文庫版が出ていたので、まとめ買いして2週間で読了。

舞台は1984年のパラレルワールドたる1Q84年。主人公の男女二人のストーリーもパラレルで展開していく。物語に登場するのは暗殺者と小説家。そして不思議な少女にカルト教団、セックスに殺人。これだけ聞けば随分と俗物的な感じではあるけど、村上春樹の描くリアルな人物、台詞や隠喩の上手さもあって、若い頃に読んだサブカル誌のように、怖いもの見たさの好奇心でどんどん読み進んでしまう。

しかし、読み終えての感想としては、物語が何を伝えたかったか、よくわからなかったというのが正直な話。自分はもっとカルト教団を舞台にした人間のカルマとかエッセンスを期待していたのかもしれない。自分の思惑とはずれたからそう感じているのかもしれないけど。不思議な少女や教団など、描ききれていない部分が多いのも消化不良の一因だ。

タイトルのアナグラムや、作品中にも出てくるけど、これは村上春樹のジョージ・オーウェル(1984年)へのオマージュだと思う。

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神の子どもたちはみな踊る

阪神淡路大震災をモチーフにした短篇集。書店で並んでいたので何気なく手にとってみた本です。実際に起きた地震をフィクションと絡ませて描いているのですが、どの作品も物語の構成が薄っぺらい気がしないでもない。でも、それが村上春樹なのだと言われるとそうなのかもしれない。そのなかでも「かえるくん、東京を救う」は面白かったと思う。かえるくんは忙しい我々の日常生活のメタファー。現実を逃避すると白昼夢のようなことが起こってしまうのだと。でも、最後はすべてを受け入れることが大切だみたいな話ではありますが。とにかく、かえるくんがいい味出していたのです。

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