ライフ・オブ・パイを見て来ました!
カナダ人作家「ヤン・マーテル」が2001年に発表したベストセラー小説「パイの物語」をアン・リー監督が映画化した本作品。見終えた感想ですが、色んな意味で騙されてしまいましたね・・・。つまらなかったのかって?・・・いえいえ、そういうわけではありません。個人的にかなり面白かったです。この映画は見終えたあとに、議論が尽きない作品だということは間違いありません。どこまで思考を掘り下げるかで全く感想が異なるんです。以下、感想ですが、映画を見た人か、見ない人以外は読まないでくださいね。
以下、超ネタバレ
ラストの展開に騙される
この物語は、主人公とその家族がインドからカナダへ移住するために、貨物船で太平洋を横断中に船が嵐で転覆遭難し、人間は主人公の少年だけが助かり、その他にハイエナ、虎、オランウータン、シマウマという動物が一緒にライフボートに乗り込んで漂流するのですが、途中、動物たちは命を落としていき、最終的に虎と少年だけが生き残ります。少年は虎に命を脅かされながらもなんとか共存し、奇跡的にメキシコに漂着して生還するという話なのですが・・・。
ラストの展開で「騙された!」って感じになります。ハイ。
最初は映画のキャッチコピーにある通り、人間が獰猛な虎とも共存して生き抜いて行く、冒険譚なのかと思い込んでいたのですが、ラスト付近のインタビュアーとのやりとりで、この話が実はフィクションではないかと思い始めるわけですね。しかも、そこから振り返ってみると・・・いろんなメッセージが隠されていることに気がつくわけです。
結末については以下の3つに分類されると思います。
- どちらの話を信じるかという主人公の問いかけに、虎との冒険の話を信じるハッピーエンド。
- 船舶会社の人に求められて話した作り話(生存のための殺人があった)の方。
- そして、これがこの物語の本当の核心で、主人公が227日生存するためにカンニバリズム(人肉食)があった。
大抵の人は2なのか1なのか、そういうところを想像して楽しむ映画のような作りではありますが、感の鋭い人は3があったと直感したと思います。
では、カンニバリズムについて、映画の中に隠されたメッセージについて検証してみると、これはかなりクロだと思うんですよね。私がそう思った箇所をいくつかあげますと、
- 主人公がベジタリアンというところ=肉が食べれなくなった
- 主人公が今はユダヤ教を教えている=コーシェルの考え方
- そして、リチャード・パーカーという名前!?
リチャード・パーカーというのはミニョネット号事件という実際にあった海難事故で、餓えの苦しみの果てに殺されて食べられてしまった水兵の名前なのです。これはかなりクロい部分ですよね。
というわけで、他にもカンニバリズムへの暗喩がちりばめられているので、見終わったあとに色々と議論が尽きないのであります。
主題歌がColdplayではない!
そして、これが2つめの「騙された!」なのですが、映画の予告編CMなんかでColdplayの「paradise」が流れ、壮大な冒険を想起させるような演出かと思いきや・・・。
劇中、エンドクレジットでも全く出て来ません!
なので、私は家族で見に行ったのですが、最後に皆で笑い出してしまいました。今回のプロモーションを考えた人は見事としか言いようがありませんね。
教えてgooなどで、主題歌の曲を教えて下さいというやりとりがあったりするのですが、いやいや・・・Coldplay出て来ませんから!(笑)
そんなわけで、私は2度騙されてしまったわけなのです。