深い河 – 遠藤周作

本屋に立ち寄ったとき、ふと手にとった本ですが深く感動しました。

インドツアーで集う人々。それぞれに他人が想像することも出来ない過去や苦悩があり、その答えを求めるため、過去と決別をするためにガンジス河へ向かうという話。妻に先立たれた男が転生を信じたり、戦争で死生をさまよった男が亡き戦友の法要のためにツアーに参加するなど、様々なエピソードが描かれますが、「真実の愛」という言葉を信じることができず苦悩する美智子という女性と、キリスト教徒でありながら基教的な考え方に迎合できず、教会を追われながらも、ただ普遍的な愛を信じて生きていく、大津という男の生き様が対象的かつ印象的でした。そして、読了後に人間の不条理というものを感じずにはいられません。しかし、それと同時に人間の愛について深く考えさせられます。

自分は特定の宗教を崇拝していません。しかし、因果というか、業というものについて最近深く考えるようになりました。人間の行いが全て結果となって現れる。人間は原因をコントロールすることで結果をコントロールする。因果応報というものでしょうか。それは宗教として当てはめれば、仏教的な考え方なのかもしれませんが、業(カルマ)について深く考えることは単なる信仰心ではなく、一人の人間として大事なことなのかなと思うのです。なぜそのようなことを考えるようになったかは良くわかりませんが、震災後の価値観の変化なのかもしれませんし、両親と先祖や死生観について話をすることが増えたからかもしれません。いずれにしても、内省はまだまだ不肖な自分ですが一度きりの人生、大切に生きて行きたいと思いました。

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